第8回学習姿勢に関する実態 中学&高校生編
はじめに
前回の記事では、講義動画の視聴に関する実態を調査した。
読者の方々から、生徒のタイプや、学習状況に応じた講義学習の方法があることについて共感のお声を頂くとともに、「間違えた問題の解説を読むなど、適切な学習姿勢を身に着けてもらいたい」「学習姿勢の大切さを説得力をもって伝えることが難しい」というお声を頂いた。
日々の指導において、学習内容はもちろんのこと、生徒自身がどのように勉強するかという学習姿勢も重視される指導者も多いと思われる。
そこで今回はより良い学習姿勢を考える上で、atama plusが持つ学習姿勢に関するデータを用いて生徒の実態に迫っていきたい。
学習姿勢に関する実態
atama+では一人ひとりの学習状況をAIが分析し、生徒が問題を間違えた際に解説を見ていない可能性がある等、学習姿勢に注意が必要な場合には講師向けのCOACHアプリにアラートが表示される。
講師はその学習姿勢に関するアラートを元に生徒への学習姿勢についての指導が可能になる。
この仕組みを生かし、2021年度にatama+で学習した中学1年生~高校3年生(ランダムに10,000人抽出)を、学習姿勢に関するアラートの頻度が多い順に生徒を20%ずつ、5つのグループに分類し、演習の正答率を比較した。なお、教科は全教科を対象としている。
学習姿勢が良い生徒ほど、演習の正答率が高い
調査の結果、学習姿勢が良い生徒グループの方が演習の正答率が高いという結果が得られた。
最も学習姿勢が良い生徒のグループとそうでない生徒のグループを比較すると約10%ptの差となった。
例えば「不正解時に解説をしっかり読んでいる」タイプの生徒の方が、「不正解時に解説を読まずに、とにかく問題を進める」タイプの生徒よりも、着実に正答を重ねている実態がうかがえる。
学び方も含めた指導に向けて
より学習成果を高めていくためには、学習姿勢が重要なのは言うまでもないが、生徒が自分自身でそれに気づき、改善することは容易ではない。だからこそ、学習姿勢の改善には指導者による支援が求められる。
一方で、指導者としても従来の学習方法では多数の生徒の学習姿勢を一度にリアルタイムに把握したり、データとして記録したりすることは困難であった。EdTechを活用することでそれらが可能になり指導もしやすくなるだろう。
atama+では生徒の学習状況をAIが分析し、講師向けのアプリ(atama+ COACH)で一覧化しながら指導に生かすことができる。
学習姿勢の指導を通じて生徒自身がどのように学習すればよいかが分かり、成長に繋がった事例を本稿で参考として取り上げた。
本レポートがより良い指導の一助になれば幸いである。
調査概要
調査対象:2021年度atama+を利用した中学1年生~高校3年生のユーザーからランダムに抽出した10,000名
調査手法:生徒の学習姿勢アラートの頻度を元に基に20%ずつ5グループに分類し、各グループの演習正答率の平均を調査
執筆者
atama+ EdTech研究所 上席研究員 森本 典生、 データサイエンティスト 内藤 純、主任研究員 池田 真一郎
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