第11回学習効率の実態 学習頻度編
はじめに
第8回の記事では、学習姿勢に関する実態を調査し、「不正解時に解説をしっかり読んでいる」など学習姿勢がよい生徒ほど、演習で正答を積み重ねている傾向があることを明らかにした。
読者の方々から、学習効率の良い生徒はどのような学習をしているのかについて興味があるという声をお聞きし、今回のレポートでは、学習の頻度に焦点を当てて調査をしていく。
学習効率に関する実態
atama+では、学習の到達度に加えて、学習時間、学習日数、取り組んでいる教材などの学習プロセスを把握することができる。
この仕組みを生かし、2021年度にatama+で学習を開始した中学1年生~高校3年生を対象に、学習効率(本レポートでは1時間当たりの合格単元数と定義する)を基準に昇順で生徒を20%ずつ、5つのグループに分類し、その学習方法を見ていく。
今回は学習の頻度について焦点を当てるため、概ね同程度の総学習時間の生徒をランダムに抽出し、その総学習時間に到達するまでの学習日数について比較した。
今回の分析条件は下記の通りである。
学習効率の定義:
・1時間当たりの合格単元数
抽出条件:
・対象学年:中学生・高校生
・対象教科:数学・英語
・学習時間:教科の学習時間が2,000~2,500分の生徒・教科
・対象人数:ランダムに5,000件抽出
学習効率が良い生徒ほど、頻度高く学習しているという結果に
調査の結果、学習効率の良い生徒ほど、同じ学習時間に到達するまでに頻度高く学習していることが分かった。
最も効率のよいグループは2,000~2,500分の総学習時間に到達するまでに67日かけており、最も効率の低いグループの39日と比較すると約1.7倍である。
より効率的な学習の指導に向けて
時間が限られている以上、できる限り効率的に学習していくことが求められる。
今回の調査によって、同じ総学習時間であれば、1日にまとめて学習するのではなく、頻度高く学習していく方が効率がよいことが示唆された。
EdTechを活用することで生徒の学習プロセスが可視化され、学習方法についても指導がしやすくなる。
本稿がEdTechも含めてより良い指導を検討する上での一助になれば幸いである。
調査概要
対象期間:2021/4/1~2022/3/31
調査対象:上記期間にatama+を利用開始した、中学生・高校生の数学・英語を対象とし、学習時間が2,000~2,500分の生徒・教科をランダムに5,000件抽出。
調査手法:学習効率を1時間当たりの合格単元数と定義し、その効率によってグループ分けし、各グループの学習日数の中央値を調査(各グループの総合学習時間は概ね同様)
執筆者
atama+ EdTech研究所 上席研究員 森本 典生、データサイエンティスト 内藤 純、主任研究員 池田 真一郎
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