第12回学習効率の実態 1日の学習時間編
はじめに
第11回のレポートでは、学習効率について調査し、同じ学習時間ならば、1日にまとめて学習するよりも、複数日に分けてこまめに学習する生徒の方が学習効率が高いことが示唆された。
読者の方々から、学習効率と1日あたり学習時間について興味があるというお声をお聞きし、今回は1日の学習時間に焦点を当てて調査をしていく。
学習効率に関する実態
atama+では、学習の到達度に加えて、学習時間、学習日数、取り組んでいる教材などの学習プロセスを把握することができる。
この仕組みを生かし、2021年度にatama+で学習した中学1年生~高校3年生(全教科)のデータを用いて、1日あたりの学習時間とその日の学習成果についてみていく。
1日の学習時間が長くなるほど、学習効率が低下するという結果に
調査の結果、中学生では、1日30~40分学習した日で1.5単元習得しているが、60~70分学習した日は2.0単元となっている。学習時間が約2倍になっても学習成果は約1.5倍程度と時間あたりの学習効率が低下しており、前回のレポートを裏付ける結果となった。
この傾向は高校生も同様である。
学習目標に効率的に到達するために
時間は限られている以上、できる限り効率的に学習していくことが求められる。
一方で、1日の学習時間が長くなると効率が低下するとはいえ、学習成果は着実に積みあがっている。
生徒一人ひとりの学習目標や日々の予定に合わせ、可能な限り効率的に学習できる計画を立て、日々学習していくことが大切であろう。
EdTechを活用することで、一人ひとりの学習状況が可視化され、指導がしやすくなる。本稿がより良い指導に向けた一助になれば幸いである。
備考:
なお、1時間当たりの合格単元数は、教科や生徒の学力によって異なる。今回の調査の数値は、全教科・全学力層を対象として全体傾向を示したものであり、一人ひとりの学習計画作成にあたっては、留意が必要である。
調査概要
対象期間:2021/4/1~2022/3/31
調査対象:上記期間にatama+を利用開始した、中学生・高校生の全教科を対象とし、生徒×日次データを中学生・高校生それぞれランダムに100,000件抽出。
調査手法:学習成果を合格単元数、学習効率を1時間当たりの合格単元数と定義。1日の学習時間別に学習効率と学習成果の平均値を調査。
執筆者
atama+ EdTech研究所 上席研究員 森本 典生、データサイエンティスト 内藤 純、主任研究員 池田 真一郎
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