第22回教育最前線 – 国内の塾における EdTech の価値事例「生徒インタビュー」編「高校内容を先取りする中学生」

日本国内の教育においてEdTechはどんな価値があるのか、生徒さんにインタビューをしながら探っていく新シリーズを開始します。第1回目のテーマは「高校内容を先取りする中学生」です。練成会グループの個別指導部門「3.14コミュニティ(以下3.14)」にご協力いただき、3名の生徒さんに、EdTech研究所上席研究員の森本がお話を伺いました。

3.14 旭山スクール 公立中3年生 I君
吹奏楽部の部長として活躍し、全国大会に出場。楽器はアルトサックス。

―― 数学の先取りをしてみようと思ったきっかけを教えてください。

姉がいまして、姉の持っている高校の参考書を見て「こういうことを勉強するのか」と興味を持ったことがきっかけだったように思います。元々、難問に挑戦するのが好きで、新聞に載っている問題も良く解いていました。ゲームにハマる人がいるように、僕は数学にハマり、中学範囲が終わったので自然と高校範囲に入りました。
姉は現在大学生なのですが、僕も大学の数学をやりたいなと思っています。

インタビューのためにいつもより早めに来たくれた I 君

―― 先取り学習で気を付けていることを教えてください。

中学校の授業でやっていない範囲なので 3.14 で atama+を使って進めているのですが、僕は自分で考えたやり方で解き進めている時があります。しかし、それだと問題は解けても遠回りなことがあります。しかし誤った解釈で進めてしまうと遠回りです。遠回りが減るよう、atama+の講義をしっかり観て、ノートにまとめ、最初から正しい方法で解くことを意識しています。

atama+を使って高校範囲を先取り学習している I 君 のノート

―― 中学範囲の学習には何か影響がありましたか?

とても良い影響がありました。中学と高校と聞くと分断されているように思えてしまいますが、そんなことはなくて、高校の範囲は中学で学んだことと繋がっています。例えば三角形の面積を求める時、高校で習う公式を使う方が速い時もあります。こうやって解き方の近道を見つけることができるようになりますし、一つの問題にも色々な切り口があることに気が付けます。中学校で授業を受けている時は、問題を解き終わった後に時間があることが多いのですが、「この分野、自分ならどんな問題にするかな?」とオリジナルの問題を作っています。


― 英語にはどんな影響がありましたか?

英語も atama+で高校で習う範囲の難しい文法などを学習しています。高校の範囲を学習して気がついたことは、難しいことを伝えたいときほど、シンプルな表現の方がわかりやすいということです。ですので、中学校の授業では簡単な文章をしっかりと頭の中で組み立てられるように意識しています。高校英語を学習したことで、中学英語の大切さがより分かりました。


―― 先取りをする上で、EdTech は紙教材と比べてどこが違いますか?

はじめは姉の参考書で勉強してみたのですが、遠回りになっていたり、完全に理解できなかったりと苦労しました。新しい単元を学習するためには、その土台になる単元を理解していることが必要になります。ただ、その土台になる単元が何なのか、そしてそれを自分が理解しているのかが分かっていなかったからだと思います。
atama+を使うと自分が今どこまで理解しているのかに合わせて学習ができます。また、講義もコンパクトですし講義と問題が連動しているので考え方の本質を理解して進むことができます。とっても役立っています。

小学生 1 年生の時から指導されてきた 3.14 小中部 原田統括本部長と

―― 将来の夢を教えてください

医療関係に興味がありますが、大学で研究をしてみたいなとも思っています。

タイムライン:中学数学 2020 年 10 月から開始/高校数学 2021 年 4 月から開始/中学英語 2020 年 10 月から開始/高校英語 2021 年 3 月から開始


3.14 新さっぽろスクール 公立中 3 年生 Y 君
野球部、ポジションはキャッチャー

―― 先取りをしてみようと思ったきっかけを教えてください

元々、高校の内容ってかっこいいなという憧れを持っていました。ですが、姉の高校の参考書を自分でやってみても上手く進みませんでした。その時に 3.14 の先生から「atama+で中学範囲が終わったら、高校範囲に進むこともできるよ」と言われました。その言葉をきっかけに、先取りを本格的に意識しました。


インタビューに応えてくれている Y 君

―― 先取りをする前は、どんな学習をしていましたか?

当時、実は学校からは授業態度について指摘されることもありました。中学範囲の内容は少し聞けば分かってしまったので、少し退屈だと感じることもあったのです。当時の塾にはatama+が無く 1 対 2 の個別指導を受けていたのですが、それですらウトウトしてしまうことも…。授業内容をノートに整理して書こうと思ったこともありませんでした。


―― 先取りをすることで、学習スタイルに変化はありましたか?

それまでも atama+を使っていたのですが、中学範囲を早く終わらせようとモチベーションが上がったことで、ペースも格段に上がりました。毎日の時間の使い方も変わって、毎日塾に行くようになりました。それまでの自分とは全然違ったので、同じ部活の友人達は驚いていました。
高校範囲の学習を始めてからは、学習方法がガラッと変わりました。内容も複雑なので中学範囲と同じ学習方法では理解が進みません。atama+の講義も一言一句、全て逃さないように集中してノートにまとめるようになりました。

先取りをするようになってガラッと変わったという今の Y 君のノート

―― 中学範囲の学習には何か影響がありましたか?

学校の授業の受け方が変わりました。問題を見て「この問題、高校範囲のこの定義を使えば簡単に解けるな」、「この証明、いくつパターンがあるかな」などと考え出すと面白いことに気がつきました。今はベクトルを使うのにハマっていて、テストでもついベクトルで解答してしまいました。そうしたら、採点されずに戻ってきて「先生を困らせてしまったな」とそこは反省しています。


―― 先取りをする上で、EdTech は紙教材と比べてどこが違いますか?

まずは中学内容を短期間で終わらせることができました。atama+は常に僕に合わせた問題や解説に最適化してくれるので、進む時は一気に進んでくれます。
その後に高校範囲に入りましたが、講義や解説が丁寧で分かりやすいことが良かったです。問題1つ1つの解説が充実しているので、間違った問題の手順も分かりやすいのです。紙だとどうしてもスペースの関係で量が制限されてしまいますよね。atama+だと講義もあって、解説も詳しく載っているので理解が進みます。

当時、Y 君に先取りができることをアドバイスされた原田本部長と

―― 将来の夢を教えてください。

今は化学系にも興味があって、その方向の研究をしたいなと思っています。医学にも興味を持っています。

タイムライン:中学数学 2020 年 11 月から開始/高校数学 2022 年 1 月から開始/中学英語 2020 年 11 月から開始/高校英語 2021 年 3 月から開始


3.14 白石ガーデンプレイス校 公立中 2 生 C さん
好きな教科は数学と理科と美術。最近の授業で一番面白かったのはデッサン。

―― 先取りをしてみようと思ったきっかけを教えてください。

先取りをするようになったのは、小 6 の冬に 3.14 に入って atama+を使い始めてからです。
その前は塾に行ったことは無く、家で自分の学年の学習をしていました。その時に、母や兄が「これはこの先の学年になるとこうやって解くよ」と兄のテキストを使って紹介してくれていたので先取りに興味は持っていました。
3.14 に入って atama+を使い始めてから、自分の学年が終わって、自然と次の学年、次の学年、と進んでいって、中 1 の 12 月に中学数学を終え、高校数学に入りました。「どんどん先に進んでいいよ」と 3.14 の先生にも言ってもらえました。今は数学 IIB をやっています。楽しいからどんどん進めています。


―― 日ごろはどのようなスタイルで勉強されていますか?

母が数学オリンピックのジュニア版の問題を出してくれたり、兄と一緒に解いたりする中で、「数学は勉強と言うよりは、楽しいものだ」と思うようになりました。
もちろん、中には理解するまでに時間がかかる単元もあります。例えば、中 1 の時に、中 3範囲の 2 次関数を学習するのが一番苦労しました。「なんで曲がるんだろう?」となかなか理解が進まなかったのです。苦労はしたのですが、数学を楽しんでいるうちに理解できるようになりました。


―― 中学範囲の学習には何か影響がありましたか?

中学校の授業では時間を持て余してしまうこともあります。45 分のテストを 10 分で終えてしまうこともありますが、そんな時は余った時間で今 atama+でやっている高校数学の問題を思い出し、そちらの問題を解いたりしています。


―― 先取りをする上で、EdTech は紙教材と比べてどこが違いますか?

atama+では1学年分全部を目標に設定して、おすすめしてくれる順に進んでいっています。
自分がミスをしたら、それも踏まえて最短コースを作り変えてくれますし、いくつか選択肢が提示されるので、何を学習すべきか迷わないのがいいですね。一方で、自分の意思でも講義や演習などが選択できることも勉強しやすいです。兄の学校の参考書を見ることはあるのですが、atama+が無かったらここまでのスピードで進んではいなかったと思います。


―― 将来の夢を教えてください。

両親が公務員で幸せそうなので、私もそんな仕事に就けたら良いなと思っています。

タイムライン:中学数学 2020 年 9 月から開始/高校数学 2021 年 11 月から開始/中学英語 2020 年 9 月から開始


編集後記

今回、公立中学校に通いながら高校範囲を先取り学習する 3 人の生徒にインタビューを実施しましたが、その背景には共通点が見られました。
一つめは、身近な人の関わり方です。3 人とも共通して兄姉を持ち、先取り学習を本格的に始める前から、兄姉のテキストや保護者からの声がけを通じて上の学年の学習内容に興味を持っていました。加えて 3.14 の先生方や保護者の方々などからの促し、勇気づけによって先取りを始めたという経緯が共通していました。継続してそれらの身近な大人たちが見守り、励ますことによって楽しみながら先取り学習を進められているようです。
二つめは、EdTech の活用です。3 人とも以前から自分より上の学年で学ぶ内容や問題に興味を持ってはいたものの、その単元を学習するために必要な知識を持っていない、などの理由で本格的な先取りに至らなかったそうです。良い先取り学習のためには、土台となる単元をしっかり修得できているという前提が必要となりますが、全てをいちから学習していると膨大な時間がかかってしまいます。EdTech は本人の理解度に合わせて学習内容を個別最適化していきますので、基礎となる中学範囲を短時間で効率的に終えることができたそうです。また、先取り学習に進んだ後も、忘れてしまった単元の復習に EdTech を活用しているとのことです。
これらの共通点を見ると、人による促しや働きかけとEdTechによる効率的な学習の両輪が、3 人の先取り学習を成功に導いた要因と推察され、EdTech と人の力を掛け合わせることで生徒の可能性をより広げることができると実感しました。3 人とも新しいことを学ぶことを「楽しい」「かっこいい」というポジティブな表現で話してくれた表情がとても印象的でした。
「atama+ EdTech 研究所」では、EdTech を活用した新しい学びと教育界の進化について、今後も研究してまいります。


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第22回教育最前線 - 国内の塾における EdTech の価値事例「生徒インタビュー」編

2023年2月10日