第30回 教育最前線 – 国内の塾における EdTech の価値事例「生徒インタビュー」編「中学内容を先取りする小学生」

日本国内の教育においてEdTechはどんな価値があるのか、生徒さんにインタビューをしながら探っていくこちらのシリーズ。今回は「中学内容を先取りする小学生」にお話を伺いました。

今回は愛知県の各地域に教室を展開されている「野田塾」に通い、atama+での自学自習で中学校内容に進んでいる4名の生徒さんにご協力いただきました。


野田塾植田校6年生Nさん
「野田塾の先生に勉強のやり方のアドバイスをもらうので、取り入れながら、自分でも勉強方法を考えて進めています」

取材のために早く来てくれたNさんと、最近の進捗について会話をしている川原校舎長(野田塾執行役員)

もともと別の塾に通っていたのですが、野田塾の方が良さそうだったのでその塾を辞めて野田塾に通い始めました。atama+講座もそうだし、理科の実験教室など、一斉授業とは別で色々な授業があるのが楽しいです。

ちょうど昨日(6月下旬)から中学2年生の内容に進み始めました。atama+はだいたい毎日学習していて、時々やらない日があるくらいです。特に1日何時間やろうと決めているわけではなく、1日1単元合格することを目標にしています。

中学範囲の先取りをやろうと思ったきっかけは、野田塾の先生から「中学範囲、楽しいよ」「中学校の内容を先取りしておくと、中学に入ったときに楽になるよ」とおすすめされたからです。まずはatama+で小学生範囲を終わらせ、その後に中学範囲の先取りを始めました。前の塾では中学範囲の先取りはできなかったので、先取りできるのは良いなと思いました。

工夫しているのは、講義を見てノートをとって、理解できるようにすることです。分からなくなったらそのページを見返します。他には、atama+の講義動画のまとめ部分は特にノートに書いて、理解しているかどうかを後から確認するようにしています。

正解しても「勘で当たったな」という時もあります。その時は演習問題をもう一度繰り返し解いて、理解しているかどうか確認することにしています。野田塾の先生に勉強のやり方のアドバイスをもらうので、取り入れながら、自分でも勉強方法を考えることが大事なのかなと思っています。

「これからも頑張ります!」と先生と一緒にガッツポーズを見せてくれました


野田塾植田校6年生Hさん
「中学範囲をやっていたらかっこいいかな」と思ったことも先取りを始めたきっかけ

atama+では中学数学を学習しています。今は中1の範囲の半分くらいまで進んでいて、「方程式の解き方」を学習しています。

はにかみながら素敵な笑顔でインタビューに対応してくださったHさん

小学生範囲がどんどん進んだので、このペースで進めるなら小学生の内に中学範囲までやれるといいなと思っていました。「中学範囲をやっていたらかっこいいかな」という思いもありました。分かると楽しいんですよね。分かったという嬉しい気持ちを誰かに教えたい気持ちもでてきます。

文字ばかり書いていても飽きちゃったり、分かりにくいところがあったりするので、図にしてまとめたり、絵を書いたりして工夫しています。わからないところがあったら先生に質問するのも大事かなと思います。

Hさんが自分で工夫しながらまとめているノートを見せてくれました

先取りすることで、「かっこいいかもな」という自信になりました。数学だけではなく英語も中学範囲を学習しているのですが、小学校では英語のスペルはあまり書かないので、atama+中学英語を学習して、英語のスペルが少しずつかけるようになってきて、かっこいいかなと思っています。英語ができる人や色々な知識をもって誰とでも話ができる人に憧れているので、そんなかっこいい人になりたいなあという憧れがあります。自分のおばあちゃんが誰とでも話ができて、素敵だなと思っているので、憧れです。

「自分のペースでやってね」といってくれます。

世界で活躍するファッションデザイナーになりたいなと思っています。だから英語を話せた方がいいので、英語をがんばりたいなと思ってatama+で頑張っています。服がすきで、小さいこども向けの服はかわいい服が多くて、かっこいい服がないから将来自分で作りたいなあと思っています。

将来の夢について、川原校舎長にたのしそうにお話しされているHさん


野田塾道徳校6年生Hさん
小6算数を4周繰り返してから、中学数学の先取りを開始

中1数学の「正負の数の利用」「文字式の表し方」を学習しています。中学範囲に入る前はatama+の小6算数を4週繰り返しました。その後に中学範囲に入りました。

校舎長の松川先生と進捗を確認するHさん

先に行くことが楽しいし、先生にも褒められるので嬉しいです。中学になったときに、楽かなという思いもあります。

理解できるようにノートを作ることと、わからなかったらもう一度講義を見たり、ノートを見返したりすることが大事かなと思っています。atama+は公式を先に教えてくれ、それを理解してから問題を解くという順番が分かりやすいです。

atama+で小学校の範囲は終わっているので、学校の授業は簡単に思うけど、atama+でノートの取り方を教えてもらったので、学校の授業でも聞きながら自分が考えたこと・思ったことをノートにたくさん書いています。授業を聞いたままのことをノートにとっているのではなくて、自分の考えを書いているイメージです。

学校の授業も野田塾の一斉授業も、授業で何をやったかな?と思い出したいときに、普通の授業はもう一度見ることができないのですが、atama+は何度も見返すことができるので、理解しやすいです。テスト前は、atama+の講義を見直して復習できるので、テスト前の復習もしやすいです。先取りをすることで勉強に対しての自信がつきました。自信を持って勉強できると、勉強がどんどん楽しくなります。理科、社会はまだatama+で中学範囲に進んでいないのですが、どの教科でもできるんじゃないかなという気持ちです。


野田塾道徳校6年生Hさん
「中学範囲をやっている時の気持ちは『嬉しい』です」

好きな教科は算数です。小さいときから計算が好きで、大きな数のかけ算やわり算の計算で正解したときに、楽しさを感じて算数が好きになりました。

野田塾 道徳校の3階の教室で先取りを進めるHさん

atama+での小6までの内容が全部終わって、確認テストも2周やりきりました。自然な流れで、そのまま次の学習範囲が中学範囲だったので、進んでみようということになりました。今は、中学数学の中1の図形のあたりまで進みました。中学英語も学習しています。

問題をどんどん解いているノートを見せてくださいました

中学範囲をやっているときの気持ちは「嬉しい」です。先取りできていて、進んでいるなぁという気持ちが嬉しさに繋がっています。また、今のうちに先取りしておけば、中学生になって楽ができる、困らないんじゃないかなとも思っています。

先取り学習を「嬉しい」と話してくれるHさんと、松川校舎長


道徳校は以前一斉指導の教室でしたが、2023年4月よりMIRAIというatama+を使った通い放題型の運営に転換しました。自分のペースで学習できるので、先取り学習をしている生徒さんが複数います。生徒が必要なだけ、好きなだけ通うことができることもあって、本日インタビューに協力してくれた2人は週5日平均で教室に来てくれています。

先取りすることが目的になってはいけないので、中学範囲に入る前に、小学生の内容がしっかり定着することも大事です。1人目のHさんには、小6の範囲は4周学習してもらいました。2周目からはノートの取り方も自分で工夫してまとめられるようになり、各段とレベルがあがり内容の理解も定着も進みました。そこまで自学できるようになると、中学範囲を自分で進める力がついてきますし、中学入学以降のアドバンテージが大きいので、これからが楽しみです。


編集後記

今回、中学内容を先取り学習する4名の生徒さんにインタビューを実施しました。話を聞く中で残った点を3つ挙げます。

1つめは、全員がポジティブな感情で先取り学習に向き合っているという点です。「かっこいい」「楽しい」という言葉がどんどん飛び出してきました。
私は受験生と接する機会も多く頂きます。受験を意識した勉強は時に苦しさも伴います。例えば、「自分は目標に到達できないのではないか」という不安感、計画通りに進める実行自体の負荷、「周りよりも伸びていないのではないか」という焦燥感など。
私は、これらは受験を通じて人間的に成長するための大切なきっかけの1つだと考えています。
一方で、今回のインタビューでは受験という視点とは異なった観点で進めている生徒さん達から、「かっこいい」「楽しい」という純粋な気持ちを聞かせていただきました。インタビューをしながら、生徒さんたちから「そうか勉強って楽しく、かっこいいものなんだよね」と元気を頂きました。

2つめは、野田塾の先生方によるご指導の結果、ごく自然に、小学校範囲が終わった続きとして中学範囲の先取り学習に取り組んでいるという点です。
「小学生はここまで、中学生になったらこの内容」という決まりは日本の学校教育が一斉指導である限り必要なことだと考えます。一方で、生徒さん個人に焦点を当てますと「もっと知りたい」「もっと先に進んでみたい」と思うのは自然なことなのだと思います。

3つめは、学習スタイルです。どの生徒さんもご自身のスタイルを持ちながら学習に向っていました。ノートに自分なりのまとめを書く生徒さん、確認テストを2周する生徒さん、復習も含めて4周する生徒さんなど。共通するのは「定着させながら進む」という点です。
松川先生もコメントしてくださったように、先に進めば良いという訳ではなく、自分の知識を確固たるものにしながら先に進む、ということが大切なのだと感じました。

今回もインタビューを通して、生徒さんからたくさんのことを教えていただきました。貴重な機会に感謝しつつ、記事を作成させていただきました。

PDF版ダウンロード:第30回 教育最前線 - 国内の塾における EdTech の価値事例「野田塾」編
2024年10月8日