第4回学習データで探る生徒の実態「高校生が抱える“つまずき” 数学編」
過去の記事への反響
第1回の記事では、中学生の4人に3人が前学年以前の数学の単元につまずきを抱えていること、学年が上がるにつれてその割合が大きくなっていくことを学習データを基に示した。
読者の方々から、中学生の実態に加えて、「高校生についても実態を知りたい」というお声を頂いた。
高校数学においても、前学年の学習内容につまずく生徒に悩んだ経験がある方も多いのではないだろうか。
例えば、高校数学の「数学I」では「数と式」を扱うことになるが、その中には式の展開や因数分解が含まれる。そのため、この範囲の理解には中学範囲の多項式の計算や因数分解の理解が欠かせない。一方で、復習の必要性を感じながらも、高校範囲のカリキュラムを進めざるを得ないというもどかしさを感じたことがある指導者も多いと思われる。
高校生が抱える中学以前の範囲のつまずき
今回は、高校生の数学に関して調査を行った。
atama+ではAIが生徒の理解度を診断し、設定した目標に対して、弱点となっている土台の単元にさかのぼって生徒一人ひとりに最適なカリキュラムを提案する。
過去の記事同様に、中学範囲の講義を視聴した生徒を「つまずきを抱えた生徒」と定義し、高1生を対象に中学以前の範囲につまずきを抱えた生徒の割合を調査した。
また、同対象の学習時間の内訳を「高校数学」「中学数学」「小学算数」に分けて調査した。
高1生の3人に2人が中学以前の範囲につまずき
調査の結果、「中学数学」「小学算数」の範囲につまずきを抱えていた高1生は66.0%であった。高1生の3人に2人が中学以前の範囲につまずきを抱えていることになる。
また、高1生の数学の学習時間の内訳を調査したところ、中学以前の範囲の学習時間が14.8%であった。平均的なatama+ユーザーは学習時間の内、約7分の1の時を中学以前の範囲の復習にあてていることになる。
いかに一人ひとりにあわせてピンポイントに復習をするか
今回の調査で明らかになったとおり、高1生の3人に2人が中学以前の範囲につまずきを抱えている。時間が経てば忘れることは当然であるし、当時学習に身が入らなかった事情があるかもしれない。
高校範囲の授業についていくためには基礎となる中学以前の範囲の理解が欠かせない。
一方で、過去の範囲をくまなく復習するということも現実的ではないだろうし、他教科の学習や課外活動のことも踏まえると、必ずしも望ましいとは言えないであろう。
高校の授業についていくためにも入試対策のためにも、一人ひとり合わせて苦手なところをピンポイントで復習をしていくことが重要であろう。本稿がEdTechの活用も含めて、一人ひとりにあった指導を検討する上での参考となれば幸いである。
調査概要
対象期間:2021/4/1~2022/1/31
調査対象:atama+高校数学を学習した高1生のユーザー約10,000人を抽出。
調査手法:中学数学・小学算数の単元の「講義動画」視聴を「つまずき」ありと定義。
総学習時間を高校数学、中学数学、小学算数に分けて集計。
※講義動画は、atama+の教材コンテンツの一つで、生徒が「つまずきを抱えている」単元でおすすめされる。
第4回学習データレポート(PDF)
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