第5回1週間後も覚えているのは約半分!忘却の実態 中学社会編
はじめに
過去のレポートでは、前学年までのつまずきや習得にかかる時間のばらつきについて学習データを基に明らかにした。
レポートに対しての感想をお伺いする中で、読者の方々から、「一度覚えたことでも時間が経つと忘れてしまう」「どれだけ、どのように復習をすればよいか悩ましい」というお声をいただいた。
限られた時間で生徒の理解度に合わせた指導を追求する中で、未習範囲の授業と既に学習した範囲の復習のバランスに悩まれる指導者も多いのではないだろうか。
忘却についての実態
復習の重要性を確認するための第一歩として、まずは覚えたことをどれくらいのペースで忘れてしまうのかについて確認することが重要であると考える。
そこで今回は、中学社会に関して調査を行い、覚えたことをどれくらいの期間で、どれくらいの内容を忘れてしまうのかを検証する。
atama+では一人ひとりの理解度をAIが診断し、習得していると判断すれば合格となる。一方で、AIが一度合格と判断した単元においても復習をする過程で忘れていると判断されると、もう一度学習を促す仕組みになっている。
この仕組みを用いて、一度覚えた単元をどれくらいのペースでどれくらい忘れてしまうのかを明らかにする。
1週間で半分、1か月後で更に半分を忘れてしまう
調査の結果、一度合格した単元でも1週間後には50%を、1か月後には74%を忘れていることが明らかになった。
例えば範囲が2か月分の定期テストだとすると、一度覚えたとしても、テスト1か月より前に記憶した内容(つまり、試験範囲の半分)は3割も覚えていないということになる。
また、範囲の広い入試本番においては更に忘れてしまっていると推察される。
いかに忘れている箇所をチェックし、忘れたタイミングで復習を行うか
一度覚えた内容でも忘れてしまうのは、ある意味当然であり、その忘れてしまうタイミングや内容は人によって異なるはずだ。
よって、一度覚えたことでも忘れてしまう場合があることを前提に学習・指導していくことが大切であろう。
特に範囲の広いテストに向けた学習においては、復習が重要になるが、その範囲も多いことから、効率的に復習をすることが求められる。
例えばatama+だと、生徒の理解度・学習し始めてからの期間・学習目標などに合わせて復習を提案する機能がある。
どこを忘れたのかをチェックし、忘れたタイミングで再度学習できる仕組みが生徒の学習にとって重要だ。
本稿がEdTech活用も含めて、指導を検討する上での参考になれば幸いである。
調査概要
対象期間:2021/4/1~2022/1/31
調査対象:atama+中学社会を学習したユーザーをランダムに約20,000人を抽出。
調査手法:初回合格後、復習系機能で学習した生徒・単元を抽出。合格からの経過日数と合格取り消しとなった単元の割合を調査。
第5回学習データレポート(PDF)
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