第15回学習継続の実態 目標達成編
はじめに
第11回から第14回のレポートでは学習効率について調査し、同じ学習時間でも学習頻度や曜日を意
識することによって学習効率は高められることを明らかにした。
読者の方々から、毎日の学習を効率よくしていくことに加えて、その学習を無理なく継続していくための学習方法について興味があるというお声をお伺いした。
継続は力なりという言葉があるが、学習の継続については生徒の強い意志や忍耐に依存するところも
大きいと思われる。
今回はどのような生徒が学習を継続できているか、データを基に明らかにしていく。
学習効率に関する実態
atama+の学習では、一人ひとりに合わせて習得したい単元と達成したい日を指導者の指導の下で
短期目標として設定し、生徒は目標単元の習得に向けて学習に取り組んでいく。
また、短期目標を達成した後は、新たな短期目標を設定し、再び学習をするというサイクルを回してい
き、短期目標の内容・単元数や達成のペースは一人ひとり異なっている。
atama+では、到達度に加えて、学習時間、学習日数、取り組んでいる教材などの学習プロセスを把握
することができる。
この仕組みを生かし、学習の継続日数と短期目標の達成頻度の関係についてみていく。
目標達成頻度が週1~2回程度までは学習日数が増加し、2回以上のグループでは減少
調査の結果、目標達頻度は週1~2回程度までは学習の継続日数が増加していくが、2回以上のグループでは学習の継続日数が減少していく傾向が明らかになった。
目標達成の頻度が少ない場合は生徒にとって負荷が高いと推察される。一方で、目標達成の頻度が多くなっても生徒にとって手ごたえを感じにくいと思われる。
無理なく学習を継続していくために
今回の調査結果より、生徒にとって適切な難易度やボリュームであり、達成感を得られる目標設定の重要性が示唆された。
そのため、一人ひとりの学力や習熟度に応じて目標設定することが望ましく、複数の生徒に一律で目標を設定する場合は注意が必要である。
また、個別の生徒に目標設定する場合は、生徒の学習データをみながら、生徒との対話を通じて行うことが良いであろう。
EdTechを活用することで、一人ひとりの学習状況を可視化でき、生徒の学習が継続しやすいような指導者のかかわりもしやすくなる。本稿がより良い指導に向けた一助になれば幸いである。
備考: 今回の調査の数値は、全教科・全学力層を対象として全体傾向を示したものであり、一人ひとりの学習計画作成にあたっては、留意が必要である。
PDF版ダウンロード:第15回学習データレポート- 第30回 教育最前線 – 国内の塾における EdTech の価値事例「生徒インタビュー」編「中学内容を先取りする小学生」
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